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Chapter.132 [ APIによる描画処理4:ブラシ オブジェクト ]

■前回のおさらい

前回は、ペンオブジェクトの生成について取り上げました。たったひとつ、ペンオブジェクトを生成するだけなのに、随分と煩雑な処理を行なわなければなりませんでしたね。
しかし、前回も書いたように、これは API プログラミングの特性というか、どうしようもない部分でもあります。構造体を正しく宣言し、適宜定数を宣言し、そうやって下準備をした上で初めて API を走らせることが可能になります。逆説的に考えると、これこそが本来の Windows プログラミングなのだとも言えます。VB という言語、あるいはそこから派生した VBA という言語が、いかにプログラミングしやすくチューニングされた言語なのかということが、嫌というほどわかるような気さえします。

さて、今回はペンオブジェクトと対になるブラシオブジェクトについてやりたいと思います。ペンオブジェクトのときと同様に、いくつかの構造体などを利用する必要がありますが、ペンオブジェクトが生成できた人ならすんなり理解できるでしょう。
ペンとブラシが揃ってしまえば、思い通りの線や色を用いて図形などを描画することが可能になります。ここはさっくりと扱い方を覚えてしまいましょう。


■API の宣言と構造体の準備

さて、ペンオブジェクトのときと同様、ブラシオブジェクトも当然 API によって生成します。それが以下の API です。

Declare Function CreateBrushIndirect Lib "gdi32.dll" _
(lplb As LOGBRUSH) As Long

この API はペンオブジェクトのときに利用した CreatePenIndirect 関数と対極を成す API で、名前もペンのところがブラシに変わっただけですね。そしてさらに、この CreateBrushIndirect 関数が受け取る引数ですが、これもペンのときと同じように構造体になっています。

今回登場する構造体の名前は LOGBURSH 構造体です。詳細は以下のようになっています。

Type LOGBRUSH
    lbStyle As Long
    lbColor As Long
    lbHatch As Long
End Type

LOGPEN 構造体と同様、みっつの要素を持った構造体となっていますが、今回は POINTAPI 構造体は登場しません。
それぞれの要素の意味合いを説明する前に、そもそもブラシとは何ぞやという根本的な話からしたいと思います。

ペンは、線を引くためのツールです。一方、ブラシとは塗り潰すためのツールです。ペンはその線の太さや、直線なのか点線なのかなといった要素をカスタマイズできましたね。ブラシの場合は、あくまでも塗り潰すためのツールなのでカスタマイズできる要素もペンとはまったく異なります。

まず、ブラシは普通は単色です。矩形などで区切られた領域のなかを、ひとつの色で塗り潰します。ペンのときと同様、この色は自由に変更することができます。
しかしブラシとはこの単色ブラシだけを言うわけではなく、簡易で幾何学的な模様で塗り潰すことができるハッチブラシや、ビットマップを使って塗り潰すことができるパターンブラシなどがあります。

ブラシを生成する際に利用する LOGBRUSH 構造体では、生成するブラシの性質を細かく指定することができます。単色で塗り潰すだけのブラシなのか、あるいはハッチブラシなのか、はたまたビットマップブラシなのか。塗り潰す色は何色なのか、ハッチブラシならどんな模様にするのかなど、全てをこの構造体によって指定します。

lbStyle には、次の要素が指定できます。

BS_SOLID = 0
ソリッド(つまり単色の)ブラシ
BS_HOLLOW = 1
塗り潰しなし
BS_HATCHED = 2
ハッチブラシ
BS_PATTEREN = 3
ビットマップブラシ
BS_DIBPATTERN = 5
DIBパターンのブラシ

これで全てではありませんが、今のところはそれほど難しく考えないほうがいいでしょう。ビットマップの話になると、API は急に難易度が上がってしまいます。まずは、ソリッドブラシとハッチブラシくらいを覚えておけば問題ありません。

さて次に lbColor ですが、これはもうそのままの意味で、ブラシオブジェクトに指定する色です。これは簡単ですね。RGB 関数を用いて色を指定しましょう。

lbHatch ですが、この要素は前述の lbStyle と深く関係しています。具体的に言うと、lbStyle で何を指定したのかによって、同じ値でも意味合いが変わってきます。

たとえば、lbStyle でソリッドブラシを選択している場合には、lbHatch には 0 を指定します。というか、基本的にはどんな数値を指定しても無意味です。要するに、ソリッドブラシの生成には lbHatch はなんの影響も与えないのですね。
ハッチブラシを生成する場合には、lbHatch 要素は非常に大きな役割を果たします。次のような様々なハッチスタイルを指定することが可能です。

HS_HORIZONTAL = 0
横線
HS_VERTICAL = 1
縦線
HS_FDIAGONAL = 2
斜線(左下から右上向きの斜線)
HS_BDIAGONAL = 3
斜線(左上から右下向きの斜線)
HS_CROSS = 4
縦横のクロス模様
HS_DIAGCROSS = 5
斜めのクロス模様

ブラシの種類がビットマップブラシの場合には、lbHatch にビットマップのハンドルを渡します。

このように、LOGBRUSH 構造体にセットする値は、生成したいブラシの種類に応じて様々に変化します。lbStyle にどのような値をセットしたのかによって、その他の要素が様々な影響を受けますので注意しましょう。


■ブラシオブジェクト生成のコード

さて、それではコードを実際に見てみましょう。
Declare Function CreateBrushIndirect Lib "gdi32.dll" _
(lplb As LOGBRUSH) As Long

Type LOGBRUSH
    lbStyle As Long
    lbColor As Long
    lbHatch As Long
End Type

Const BS_SOLID As Long = 0
Const BS_HOLLOW As Long = 1
Const BS_HATCHED As Long = 2
Const BS_PATTEREN As Long = 3
Const BS_DIBPATTERN As Long = 5

Const HS_HORIZONTAL As Long = 0
Const HS_VERTICAL As Long = 1
Const HS_FDIAGONAL As Long = 2
Const HS_BDIAGONAL As Long = 3
Const HS_CROSS As Long = 4
Const HS_DIAGCROSS As Long = 5

Sub bCreate(hDC As Long)

    Dim lb As LOGBRUSH
    Dim nb As Long
    
    With lb
        .lbStyle = BS_SOLID
        .lbColor = RGB(255, 0, 0)
        .lbHatch = 0
    End With
    
    nb = CreateBrushIndirect(lb)
    
End Sub

掲載したコードの大半が宣言セクションという、ある意味衝撃的な内容になってますね。実際にブラシオブジェクトを生成しているのは bCreate というサブプロシージャです。上記の記述では、赤色で塗り潰されるソリッドブラシを生成しています。
CreateBrushIndirect 関数は、実行された結果としてブラシオブジェクトのハンドルを返します。変数 nb に、最終的に生成されたブラシオブジェクトのハンドルが取得されるようになっているのですね。

基本的に、ブラシオブジェクトの生成はこれだけです。ペンオブジェクトのときもそうでしたが、これらのオブジェクトは生成しただけではなんの意味もありません。デバイスコンテキストに対してオブジェクトを選択させることで、初めて利用することができます。そのあたりは、次回に詳しくやりたいと思います。


■まとめ

さて、ブラシオブジェクトの生成について理解できたでしょうか。
ペンやブラシを生成すると言っても、実際にコードの中で扱うのはそれらのオブジェクトのハンドルであるということを忘れないようにしましょう。

今回の例で言うと、最後に示したコードの中で、 nb という名前の Long 型の変数に、新しく生成されたブラシオブジェクトのハンドルが取得されています。これらのハンドルを用いてオブジェクトを操作したり削除したりするわけですね。

次回からは、生成したオブジェクトをデバイスコンテキストに選択させ、実際にそれらを用いた処理を行なう予定です。ただし、いくつかの守らなければならない約束事などもありますので、それらもしっかり解説します。

ブラシオブジェクトはペンオブジェクトと比べて生成できるオブジェクトの自由度が高いので、若干わかりにくい面もあるかと思います。今のうちにしっかり理解しておきましょう。



■格言

ブラシはスタイルが多様に存在する
スタイルに応じて構造体にセットした値の意味合いが変化する


ブラシオブジェクトはまぁ、基本はベタ塗りで使うことが多いと思います。極めればいろんなことができるのは確かですが。

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