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Chapter.129 [ APIによる描画処理1:ハンドル ]

■API による描画処理とは

さて今回から始まる上級講座2。テーマは、API による描画処理です。
今までの講座では、イメージコントロールなどを使うことでゲームの描画処理を行なっていました。API を使って行なう描画処理は、今までとは全く違うアプローチで行ないます。難易度も若干高くなりますが、そのかわり描画速度が劇的に向上するだけでなく、ちょっとしたエフェクト効果をかけることも可能になります。

基本的に、API による描画を行なうメリットは単純明解です。それは「高速化」と「グラフィック性能の向上」の二点、これに尽きます。同じ画像イメージをウィンドウ内に描画するとしても、イメージコントロールを用いた場合と API によって描画した場合とでは、速度に大きな差が生まれます。これはなぜかと言えば、イメージコントロールを使って画面に描画する場合でも、実際には VBA が内部で API を呼び出しているに過ぎないからです。仲介する VBA を省き直接ウィンドウ内にイメージを描画することによって、速度的なアドバンテージを得られるわけです。
グラフィック性能の向上に関しては、大幅に高速化されることのメリットに比べると、若干の向上という程度のものと考えてください。画像を半透明化して描画するなど、従来のイメージコントロールでは実現できなかった処理を行うことができたりしますが、その代わりに速度を犠牲にしなければならないのがネックになります。ゲームのどんな場面に利用するかにもよりますが、高速な描画を求められるシーンでは、エフェクトバリバリの描画は難しいでしょう。ピンポイントで、エフェクト効果と速度とを天秤にかけて使っていくことになります。

さて、いろいろ書きましたが、それじゃ実際どうすればいいのか、という疑問を持つ方もいらっしゃると思いますので、さっそく実践的な解説に移っていくことにしましょう。


■識別するもの

これをご覧の皆さんがまだ小さかった頃、持ち物には必ず「名前」を書くように決められていたことと思います。ノートや文房具のひとつひとつに至るまで、事細かく名前を記入していたのではないでしょうか。
なぜ自分の持ち物に名前を書くのかと言えば、それが自分の持ち物であることを識別するために他なりません。まったく同じ教材を使っていれば、それが誰の持ち物であるかを見分けるには何かしらの目印が必要になります。その目印こそが、持ち物に書かれた名前の記載だったわけですね。

Windows のなかでも、実は似たようなことが起こっています。
いくつものウィンドウを複数起動することができる Windows では、そのひとつひとつを判別するために、内部でハンドルと呼ばれるものを使っています。

このウィンドウのハンドルは○○、このウィンドウのハンドルは××、というふうに、それらは重複することのないデータとして個別に、そして厳密に管理されています。ですから、ハンドルさえ取得することができれば、目的のウィンドウを自由に捕捉することができるようになります。当然、ユーザーフォームもウィンドウの一種ですから、ウィンドウハンドルを持っています。ユーザーフォームのウィンドウハンドルを取得することで、いろいろなことができるようになります。

API による描画を行なうためには、まず、どのウィンドウに対して処理を行なうのかを明確にしなくてはなりません。ですから、ユーザーフォームのウィンドウハンドルを取得することが、API 描画の最初のステップになります。


■ウィンドウハンドルの取得

ウィンドウハンドルを取得する方法は、実はひとつではありません。というより、むしろ無数にあります。

ここでちょっと話が脱線しますが、実はテキストボックスやコマンドボタンといったお馴染みのコントロールたちも、実際にはウィンドウの一種です。ウィンドウズではコントロールのひとつひとつを管理するのにも実はウィンドウと同じ仕組みを使っており、コントロールたちは個別にウィンドウハンドルを持っています。
VBA で利用できるフォームではコントロールのハンドルを取得することはできないのですが、本家 VB では、コントロールのハンドルを比較的簡単に取得することができます。このとき、ユーザーフォーム本体を「親ウィンドウ」と呼び、その中に配置されている各種コントロールなどを「子ウィンドウ」と呼びます。API には様々な方法でウィンドウハンドルを取得できる仕組みがあると書きましたが、例えば特定の親ウィンドウのハンドルから子ウィンドウのハンドルを取得する……といったことも API を使えば実現できます。

ウィンドウハンドルを取得する方法には、たとえば次のような種類があります。これでも、いくつもある方法のほんの一部です。

・指定した座標にあるウィンドウのハンドルを取得する
・ウィンドウのキャプションを指定してハンドルを取得する
・アクティブなウィンドウのハンドルを取得する
・一番手前にあるウィンドウのハンドルを取得する

このなかで、比較的安心して使えるのはウィンドウのキャプションを指定してハンドルを取得する方法です。ユーザーフォームのキャプションは、プロパティウィンドウなどから自由に設定することができますよね。ですから、キャプションからウィンドウを特定しハンドルを取得することができれば、他のウィンドウのハンドルを間違って取得してしまう危険を極力回避できます。
逆に、アクティブなウィンドウのハンドルを取得する方法では、別のプログラムがたまたま介入してきてアクティブなウィンドウが切り替わったり、ユーザーの操作によってアクティブウィンドウが切り替わったりした場合に、別のウィンドウのハンドルを取得してしまう可能性もありますよね。
この講座では、上記のような理由から、キャプションを指定してウィンドウハンドルを取得する方法を使っていくことにします。


キャプションからウィンドウを特定し、そのハンドルを取得する API は FindWindow と呼ばれる API です。宣言文は以下のようになります。

Declare Function FindWindow Lib "user32.dll" Alias "FindWindowA" _
(ByVal lpClassName As String, ByVal lpWindowName As String) As Long

宣言文を見ると、この API がふたつの引数を取ることがわかりますね。
第一引数の lpClassName にはウィンドウのクラス名を指定するのですが、VBA からはこの引数を利用することはほとんどありません。重要なのはふたつめの引数です。第二引数の lpWindowName に、ウィンドウのキャプションを渡すことで、この API は期待通りの動作をしてくれます。
また、宣言文をよく見るとわかりますが、この API は Long 型のデータを返すことがわかりますね。つまり、ウィンドウハンドルは Long 型のデータであり、その実体は単なる数字の羅列であるということがわかります。

それでは、実際のコードです。今回は、ユーザーフォームをひとつ、そして標準モジュールをひとつ準備します。

まずは、標準モジュールに記述するコードです。

Declare Function FindWindow Lib "user32.dll" Alias "FindWindowA" _
(ByVal lpClassName As String, ByVal lpWindowName As String) As Long

Sub get_handle(w_caption As String)

    Dim hwnd As Long

    hwnd = FindWindow(vbNullString, w_caption)
    MsgBox hwnd

End Sub

一般に、ウィンドウハンドルは hwnd という変数名で管理することが多いので、当講座でもそれにならって、ウィンドウハンドルはこの変数名で統一します。
この get_handle というサブプロシージャは、引数としてウィンドウのキャプションを文字列で受け取り、そのキャプションを FindWindow 関数に渡します。そして戻り値として受け取ったウィンドウハンドルをメッセージボックスで表示します。

FindWindow 関数は先述のとおり引数をふたつ取ります。第一引数は今回は無視して構わないので、vbNullString を与えています。vbNullString はデータが何も存在しないことを表す組み込み定数で、今回のように引数を無視する場合などによく使われます。

次にユーザーフォームの、フォームモジュールに記述するコードです。

Private Sub UserForm_Click()

    get_handle Me.Caption

End Sub

これは簡単ですね。先ほど標準モジュールに記述した get_handle というサブプロシージャに、ユーザーフォームのキャプションを渡しているだけです。このプロシージャはユーザーフォームのクリックイベントなので、ユーザーフォームを表示してから、クリックすると実行されます。

何度か、ユーザーフォームをいったん消して、再度表示しなおしてからクリックしてみるとわかりますが、ウィンドウハンドルは毎回違っていることに気がつくと思います。Windows は、ウィンドウが新しく生成されるたびに毎回異なるハンドルを生成していることがわかりますね。逆に、一度生成されたウィンドウのハンドルは、そのウィンドウが閉じられるまでは有効になります。


■まとめ

さて、今回はウィンドウハンドルの取得までを解説しました。ここまでは、それほど難しくない内容だと思いますので、すんなり理解できたのではないでしょうか。

ポイントとなるのは、ウィンドウハンドルを取得する方法にはいろいろなやり方があり、そのなかでどれを利用するべきなのかをきちんと理解しておくことです。今回のようなウィンドウハンドルを取得するまでの一連の処理は、API で描画するゲームを作成する上では最初の一歩というか、基本中の基本になります。まずはウィンドウハンドルを取得しなければ、なにもできないと言っても過言ではありません。きちんと理解しておいてください。


■格言

ウィンドウはハンドルによって管理されている
ハンドルは API を利用することで取得できる
ハンドルを取得する方法は複数ある


ハンドルが取得できれば様々な処理を実行することができます。


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