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Chapter.92 [ タイピングゲーム7:動的配列 ]

■ゲームの骨組みを作る

タイピングゲームの作成も、そろそろ核心に迫りつつあります。

文字列の照合、ゲーム画面、問題文のソート、ここまでは前回までで完成しています。今回からはゲームの骨格を実際に作っていきます。
まずは、ゲームに使う変数や、それらの変数の初期化からはじめましょう。


まず、今回のタイピングゲームで使う、グローバル変数などの準備をしましょう。グローバル変数というのは、『 Public 』で宣言した変数のことで、どのモジュールからでも参照できる変数のことです。
今回のゲームでは、現段階で次のような変数を宣言しておきます。

Declare Function GetTickCount Lib "kernel32" () As Long
Declare Sub Sleep Lib "kernel32" (ByVal dwmilliseconds As Long)

Public Problem() As String
Public Problem_Count As Long
Public Problem_Number As Long
Public Problem_Str_Count As Long
Public Game_Flag As Boolean
Public Game_Time As Long

ゲームで使用するAPIの宣言と、グローバルな変数の宣言です。

GetTickCount は時間を計るために使います。
Sleep も時間に関する処理のために宣言しておきます。

Problem() は、問題文を格納するための配列。
Problem_Count は問題の総数。
Problem_Number は、現在何問目かを表す。
Problem_Str_Count は、現在の問題の何文字目かを表す。
Game_Flag は、ゲームを開始しているかどうか。
Game_Time は、ゲーム開始からどれくらい時間が経っているか。

現段階では、グローバルな変数はこれだけあれば十分です。
文字列の照合のところでも書いたように、タイピングゲームで正しくキーが押されているかどうか調べるためには、現在何問目か、そのなかの何文字目なのか、などがわからないと処理できません。それらの処理を実現するために、ここで宣言している変数を使うわけですね。


■初期化する

ゲームでは初期化がとても大事です。

前回のゲームの内容が残ってしまっていたりすると、動作がおかしくなったりすることが往々にしてあるからです。まずは、先ほど宣言したグローバル変数をしっかり初期化する関数を作っておきましょう。

ちなみに、この関数の中で、問題文のソートと、問題文の文字列の取得まで一気に行ってしまうようにしておきます。(問題文のソートに関しては以前の講座を参照⇒Chapter91)

Sub Game_Init()

    Dim L As Long
    
    Problem_Count = 10 '①
    ReDim Problem(1 To Problem_Count) '②
    Problem_Number = 1
    Problem_Str_Count = 1
    Game_Flag = False
    
    Problem_Sort
    
    For L = 1 To Problem_Count
        Problem(L) = Cells(L, 1).Value
    Next

End Sub

さて、現段階では問題数は10個にしていましたね。それを頭に置いて、順番に見ていきましょう。

まず、①の部分で、総問題数を設定しています。今回は10個でしたね。

そして、②の部分で、問題文を格納する配列を ReDim ステートメントを使って再度宣言しています。

先ほどの、グローバル変数の宣言を行っていたコードを思い出してみてください。そこには、こんな一文がありましたね。

Public Problem() As String

これを見て、おや? と思った人はなかなか優秀です。
今まで、何度か配列変数について解説してきましたが、このような配列を使うのは初めてです。変数名に続く括弧のなかに、何も数字が書かれていませんね。このような配列変数のことを、動的配列と言います。

普通、配列変数は、括弧の中に数字を入れて、要素の個数を指定します。

Dim Hairetu(3) As Integer

このようにした場合は、要素の数が4つある配列変数が宣言されますよね。インデックスが 0 、1 、2 、3 の4つですね。
しかし、今回のように、あらかじめ括弧の中になんの数字も指定しない場合には、配列のインデックスが未定のままになります。このような配列は、あとでもう一度要素数を指定して宣言し直す必要があります。

そして、この再度宣言し直すときに使われるのが、『 ReDim ステートメント 』なのです。要素の数が未定のままでは、配列変数を使うことはできません。そこで、ReDim ステートメントを使って要素数を指定し直すわけです。

あらかじめ、要素の数が不確定な場合などは、この動的配列を使うことが多いです。適当に大きな数字を指定して配列を宣言すれば、それだけ無駄が多くなりますし、逆に小さな数字を指定して配列を宣言したのでは、もしかしたら要素数が足りないかもしれません。
要素の数がハッキリした段階で、配列の要素数を指定することができれば、無駄なく、確実に配列変数を宣言できますよね。そんなときに動的配列が活躍するわけです。

今回の場合は、あとから問題を増やす可能性があります。製作する開発者が増やすかもしれませんし、もしかしたら、プレイヤーが自由に問題数を選択できるようにするかもしれませんよね。
そういったことを考慮して、ここでは動的配列を使っています。ゲームがどんどん完成していって、将来的にゲームの品質を向上したい場合には、問題数を選べる機能などを追加すればいいのです。そのときにスムーズに移行できるように、動的配列を使った処理を採用しています。


さて、ちょっと話が逸れました。初期化のコードをもう一度見てみましょう。

Sub Game_Init()

    Dim L As Long
    
    Problem_Count = 10
    ReDim Problem(1 To Problem_Count)
    Problem_Number = 1 '③
    Problem_Str_Count = 1 '④
    Game_Flag = False '⑤
    
    Problem_Sort '⑥
    
    For L = 1 To Problem_Count
        Problem(L) = Cells(L, 1).Value '⑦
    Next

End Sub

③~⑤までは、順次初期化を施しているだけですね。そして、⑥の部分で、以前作成した問題文のソートを行う関数を呼び出しています。
ここで、ワークシート上の問題文がランダムに並び替えされます。

そして最後に⑦の部分で、問題文を配列変数に格納しています。全部で10個ある問題文が、配列変数 Problem の各要素に格納されて、これで初期化が完了します。


■まとめ

さて、初期化についてはおおよそ理解できたでしょうか。
動的配列を採用した汎用的な処理について解説したので、少し難しい内容だったかもしれません。しかし、動的配列は様々な場面で役に立ちます。今はまだ実装していませんが、将来的にプレイヤーが問題数を決めることができるような仕様にするなら、当然動的配列による処理が最も適しています。

今回の初期化処理が終わったあと、実際にゲームの処理がスタートします。次回はいよいよゲームの実体を作成することになります。

初期化は非常に大事ですから、気を抜かずに、しっかりと実装させておくようにしましょう。



■格言

初期化は重要、しっかりと
動的配列は要素数が未確定な配列
動的配列を用いた汎用的な処理を実装する


次回はいよいよゲームの実体となる処理を作ります。


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