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Chapter.88 [ タイピングゲーム3:文字列照合 ]

■考え方から

前回は、ユーザーフォーム上のキーの入力を検知する方法について解説しました。前回紹介したような方法は、タイピングゲームのほか、それほど激しい入力を必要としないゲームのキー検知に適しています。

シューティングゲームやアクションゲームは、キャラクターを動かすために、常にループを回している必要がありますので、また違ったキー入力の検知が必要です。ただ、今回のタイピングゲームは、常にループを回す必要はありません。それなら、キーダウンイベントを用いた処理のほうが、負荷も少なく、コードもスマートに仕上がります。


さて、今回は、タイピングゲームの肝である、文字列の照合をやってみます。

前回の講座内容を用いて、どのキーが押されたかは取得できるようになりました。A のキーが押されたのか、それとも S のキーが押されたのか、これは前回の内容をしっかりと理解していれば取得できるはずです。

ここで取得できた文字列を元に、正しくタイピングができているのかを調べます。今回はその考え方からしっかりと取り組みましょう。


■何文字目なのか

さて、タイピングゲームでは、表示している文字列と、押されたキーの内容が、正しく一致しているのか調べる必要があります。

例えば、『 R 』という文字を押してください、という問題を出題しているとすると、押されたキーの内容と一致しているかどうか調べるのは簡単ですね。

押されたキー Like "R" = True

このように、一文字だけの比較をする場合は、とても簡単です。
ただ単に、双方が同じ内容かどうかを調べればいいだけだからですね。

しかし、一文字をタイプするだけのタイピングゲームならいいとして、何かしらの単語をタイピングするとなると、話が変わりますね。

例えば、『 RANGE 』という文字列を入力してください、と言う問題があった場合はどうでしょう。
この場合は、先ほどのようにはいきませんよね。

押されたキー Like "RANGE" = True

こんな式が成り立つはずはありません。

理由は簡単です。
押されたキーは、常に一文字分です。ということは、これでは絶対に双方が一致することはありえないわけです。一文字目の入力がされた時点で比較が行われるからですね。

Point 1 :キーの入力は常に一文字である

さて、それでは、複数文字と押されたキーの比較はどうすれば実現できるでしょうか。

これには、今現在、何文字目と比較しなければならないのか、という情報が絶対に必要です。今一文字目を押さなければならないのか、それとも二文字目を押さなければならないのか。これがわからないことには、比較を行うことができません。

Point 2 :今何文字目かを保持しておく必要がある

こうして考えてみると、なんとなく必要な仕組みが見えてきます。


■必要な仕組み

今回のタイピングゲームは、一文字だけのタイピングではなくて、単語を入力させるようにします。このためには、先ほど説明した、ふたつのポイントを押さえておかなくてはいけません。

キーダウンイベントで取得できる文字は、常に一文字です。

そして、タイピングするべき文字列は、複数の文字からなる単語です。

ここで、キーの入力と単語の文字が一致しているかどうか調べるためには、今現在、何文字目を処理しようとしているのか、この情報が必要です。ここまでは大丈夫ですね?


さて、それでは今何文字目を入力するべきなのか、この情報を正しく保持できたと想定してください。その上で、どうやって文字列を比較すればいいのか、これはわかりますか?

これには、以前の講座で解説した Mid 関数を使います。
( Mid 関数についての詳しい解説はこちら ⇒ (Chapter84)

Mid 関数を使うと、ある文字列のなかの任意の一文字を取得することができます。例えば、次のようにすると、変数 S には『 V 』が入ります。

    Dim S As String
    
    S = Mid("ExcelVBA", 6, 1)

このように、Mid 関数を用いれば、単語の中から特定の一文字を抜き出して処理することが可能になります。これで、キーの入力と、特定の一文字を比較することができるようになったわけです。

しかし、これでは完璧ではないのです。

例えば、次のようなコードを実行した場合、どうなるでしょうか。

    Dim S As String
    
    S = Mid("ExcelVBA", 4, 1)

この場合、左から数えて四文字目が抜き出されるので、『 e 』が変数 S に入ります。

これの何が問題なのか、皆さんはわかるでしょうか。
実は、ここで抜き出された文字は、ローマ字の 小文字 ですよね。これが問題なのです。

プログラミングの世界では、大抵の場合、大文字と小文字は厳密に区別されます。VBAでも例外ではありません。普通、大文字の E と、小文字の e は全く違う文字だと判断されてしまうのです。

そこで、大文字でも小文字でも、全く同じように処理できる仕組みが必要になります。いやぁ、だんだん難しくなってきましたね。落ち着いていきましょう。


■大文字小文字の統一

さて、ここでも以前に解説した関数が必要になります。それが StrConv 関数です。
( StrConv 関数についての詳しい解説はこちら ⇒ (Chapter85)
この関数を活用すると、大文字だろうと小文字だろうと、全く同じように処理することが可能です。

早速、StrConv 関数を使って、先ほどのコードを修正してみます。

    Dim S As String
    
    S = StrConv(Mid("ExcelVBA", 4, 1), vbUpperCase)

Mid 関数を使っている部分を、まるごと StrConv 関数で囲んでしまえばいいのですね。

StrConv 関数の第二引数には、『 vbUpperCase 』が指定されています。この定数は、全てのアルファベットを大文字に変換するように設定するものです。
第一引数に入っている文字列が、大文字だろうと小文字だろうと、必ず大文字にして結果を返してくれるのです。これなら、対象となる文字がどんなアルファベットでも問題なく統一された処理を行うことができます。

もし、先ほどのコードがわかりにくければ、次のように書くこともできます。

    Dim S As String
    Dim SS As String
    
    S = Mid("ExcelVBA", 4, 1)
    
    SS = StrConv(S, vbUpperCase)

これでもやっていることは全く同じです。わかりやすく書くなら、これでもいいでしょう。


■まとめ

さて、どうでしょう。かなり長くなってしまいましたが、文字列を照合する仕組みを理解できたでしょうか。

どんなタイピングゲームを作成したいのかによるのですが、アルファベットの単語を入力させるタイピングゲームでも、これだけ面倒なことをしなければならないのですね。

人間が文字を見る時は、大文字か小文字かなんて、実際大きな問題ではないわけですが、プログラミングではそういった曖昧さは許されません。
キチンとルールにのっとって、どんなときでも同じように処理できるようにしなければなりません。

今回の内容を正しく理解できれば、タイピングゲームの本筋が理解できたと言っても過言ではありません。完成度の高いタイピングゲームを目指し、がんばっていきましょう。



■格言

特定の一文字を抜き出す
大文字小文字を統一する


仕組みさえ理解できれば、あとはコードを書くだけです。がんばりましょう。



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