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Chapter.86 [ タイピングゲーム1:仕様を決める ]

■まずはイメージを固める

今回から、いよいよタイピングゲームの作成を開始します。
まずは、どのようなタイピングゲームを作るのか、その仕様をしっかりと決めておき、イメージを固める作業から始めましょう。


タイピングゲームとひとくちに言っても、様々な種類の物があります。

・アルファベットを入力するタイプ
・日本語を入力するタイプ
・自動認識機能つき日本語入力タイプ
・カナ入力対応日本語入力タイプ

アルファベットを入力するだけのタイピングゲームは、難易度が低く、初めてタイピングゲームを作るにはもってこいです。

ただし、日本語の入力にも対応するとなると、急激に難易度が上がります。
日本語は、英語とは違い、一回のキー入力では文字が確定しませんね。例えば『か』という言葉を入力するなら、『 K ⇒ A 』と二回の入力が必要です。そして、なかにはキー入力が三回必要な文字もありますね。『しゃ』という言葉を入力するなら『 S ⇒ Y ⇒ A 』と入力する必要があるからです。

さらにやっかいなことに、同じ言葉を別の入力方法で表現することもできます。

例えば、先ほどの『しゃ』の場合は、『 S ⇒ H ⇒ A 』でも、『しゃ』という言葉を入力することができます。もっと言うと、『 S ⇒ A ⇒ L ⇒ Y ⇒ A 』でも、結果的には『しゃ』になります。

日本語入力に対応するということは、これらの複雑なキー入力の組み合わせの全てに対応しなくてはならないということになります。
これは一筋縄ではいかない、非常に難しい処理だといえます。

そして、まだまだ問題があります。
日本語環境での入力には、『カナ入力』という入力方法もあります。

この場合、ローマ字での文字入力とは全く違う処理を実装しなければならないので、さらに複雑になってきます。


こうして考えてみると、まずは、アルファベットを入力するタイプの、シンプルなタイピングゲームを作ってみるのがよさそうです。
そこである程度基本的なテクニックを磨いておけば、さらに上の段階として、日本語入力に対応したゲームを作成することも可能でしょう。

ということで、本講座ではこれ以降、アルファベット入力タイプのタイピングゲームを作成していくことにします。
これなら、それほど難しいことを考えなくても、ある程度見栄えのするゲームが作れます。

日本語入力に対応しているほうが、確かにカッコイイですし、スゴイ感じがしますが、まずはしっかり基礎を身につけるためにも、簡単なものから始めましょう。いきなりレベルの高いところを目指してしまうと、それが挫折に繋がることもあります。焦りは禁物です。


■入力の検知方法

タイピングゲームの大枠が決まったところで、次はプログラム的視点から、仕様を考えましょう。

まず一番に考えなくてはならないのが、『キー入力の検知方法』です。

以前、シューティングゲームを作成したときなどは、キーの入力を検知する方法として『 GetAsyncKeyState 』というAPIを使いました(Chapter36を参照)。

この方法は、アクションゲームやシューティングゲームなど、常にキーの入力状態を監視したい場合に適した方法だと言えます。
しかし、タイピングゲームには、この方法は適しているとは言えません。それはなぜでしょうか。


タイピングゲームでは、キーが押された瞬間に、一度だけキーの入力が検知できればそれで用事は済みます。シューティングゲームなどと違い、キーの入力を常に見張り続ける必要は無く、あくまでも、キーが押された瞬間だけがわかればいいのです。

ずっとループを回し続け、キーが押されているかどうか判断する必要は無いのですね。
それなら、一体どのようにしてキーの入力を検知すればいいのでしょうか。

これには、イベントをうまく活用することで対応が可能です。
具体的には、『 KeyDown イベント 』を活用します。

KeyDown イベントは、ユーザーフォームなどがフォーカスを持っているとき(アクティブなとき)に、キーボードのキーが押されると発生するイベントです。このようなイベントは、キーが押されたときだけ発生するので、それ以外のところで常にキー入力を見張っている必要はありません。これなら簡単ですね。


■ゲームのルールを決める

タイピングゲームは、その種類によって様々なゲームとしてのルールが決まっています。

例えば、一定の時間内でどれだけの文字を入力できるか、であったり、逆に、文字を全て入力するまでにどれくらいの時間がかかるか、であったり、様々です。

今回のタイピングゲームは、次のようなルールにして作成を進めていくつもりです。

・制限時間なし
・入力する文字数が決まっており
  どれだけ速く入力できるかタイムを競う
・間違った入力を集計し、正確さを表示する

このようにルールをあらかじめしっかりと決めておくことは、タイピングゲームに限らず、どんなゲームを作成する場合でも大事です。

なぜなら、途中から仕様やルールを変更してしまうと、コードの全体像がぐちゃぐちゃになってしまったり、思いもよらないバグが突然発生したりするからです。

あらかじめ、どのようなゲームにしたいかを明確にしておくことで、開発をスムーズに行うことができます。ちょっと面倒な気がするかもしれませんが、曖昧なままでスタートしてしまうと後で痛い目を見ますので、気をつけましょう。


さて、大体ゲームの仕様は決まりました。

・アルファベット入力のタイピングゲーム
・キー入力検知には KeyDown イベントを採用
・制限時間なし
・入力のスピードを競う
・誤入力を集計し正確さを表示する

これが、今回から作成していくゲームの仕様になります。

次回からは、実際にコードを記述していきます。お楽しみに。



■格言

あらかじめ仕様を決めておく
全体像をある程度イメージしておく


どんなゲームにしたいか考えているこの段階が、実は一番楽しかったりします。



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